ステートメント

湿原とその周辺の写真を撮るということ

 

世界の文明の多くは湿原で発達しました。

 

日本の多くの都市のみならず、今も残っている世界各国の歴史ある街は、

今は様子がすっかり変わり湿原そのものが失われていても、

残っている地形や街の歴史から、

かつて湿原と深い係わり合いが存在したことを想像させます。

 

ですから、

古代の人々の世界観は、

湿原やその周辺の風景に大きな影響を受けていると私は思っています。

 

人は湿原に立つと、さまざまな世界を目の当たりにし、

日常の中では得難い自然からの贈り物を受け取ることができます。

その感覚は、おそらく誰もが、

幼い頃に感じたことに共通するのではないかと思います。

 

水鏡の中の世界や

遥か彼方の世界

天空の世界

幻の世界

コミュニケーションが取れそうで取れない世界…

 

私は若いころ釧路に住み、湿原を忌み嫌っていました。

あんな人間の入ることのできない、父が私を探した底なし沼みたいなところなんて、と。

そんな底の浅い自分も、世の中で起こる事に学び、ものの見方も少し変わり、

今は反省も含め、一度回帰しようと考えています。

 

私が湿原とその周辺の写真を撮るのは、そのためです。